●いきなりダイヤモンド● 1998年にオープン。それまでの函館ラーメン事情といえば、駅前地区の老舗系、本町地区の飲んだ後の〆の一杯系、六花などの大衆中華系といったところで、住宅街や郊外の専門店は1996年の田家町の麺次郎の出現まであまり記憶にありません。そんな折、ハルクホーガンやプロレスを連想させる店名。(店主の吉川氏は大のプロレスファンで店名もラーメンマンにちなんだそうです。)いまでこそ、無化調という言葉が一般的になっておりますが、当時は画期的でした。僕は1999年頃から何度か利用させていただきました。最初の印象は店主が若いことでした。(昭和46年生まれで当時20歳台後半)しかし、キャリアをカバーして有り余る、丁寧な仕事とセンス。オープン前に北海道の各都市の人気ラーメンを食べ歩き(多いときで1日7軒!)舌で記憶して家で再現する研究熱心さ。厨房での真剣な仕事ぶり。やはり、ラーメンというジャンルはセンスとアイデアが重要です。肝心の味は吉川さんは『地元民は味噌、観光客は塩、自分では醤油』と語っておりますが、個人的にはピリ辛醤油ベースの超人ラーメンと味噌がオキニです。僕と同年代でこの味が出せるとは松本人志風に言うと『いきなりダイヤモンドやでー!』といったところです。ラーメンをバランス型と一点突破型の2種に大別すると明らかに前者。鯵の旨味がジワーっと効いてきます。そして、チャーシューや味付け玉子の仕込み具合も丁寧。函館ニューウェーブの先駆者的な存在です。その後は伝説の函館塩ラーメンサミットへの出店、ラーメンテーマパークの湯の川らーめんブギ出店、セカンドブランド ガつんOPEN.等、吉川氏の活動は積極的であり活動的であります。難点といえば、吉川氏曰く『マニアック』というだけあってマニア層に支持されながら、フリー客層の弱さでしょうか。ラーメンというジャンルはプロレスや音楽に似ていて、実力があることが成功と直結しないことです。それでも信念を貫いて欲しいです。

正油

味玉

カリカリギョーザ